歯髄保存治療(MTA)

深い虫歯になった方へ

私が開業医になった20数年前では歯髄(歯の神経)に達した虫歯はほとんどの場合「抜髄」といって歯の神経をとる処置を行っていました。現在では歯髄保存ができたであろう症例もです。

なぜ現在は「抜髄」を避けるような治療に変化し、可能になっていったか、理由は2つあります。

一つは歯髄を守るための歯科材料・薬品が研究・開発され発売されたこと。もう一つは歯科医側の考えの変化です。

以前から歯髄を守るための材料や薬品は存在していたのですが、どれも臨床成績がよくなかったのです。二度手間になるだけだったので「抜髄」になってしまっていたのでした。

また歯科医の考えは以前から歯髄をとった歯が弱くなることは学術的にはわかっていたのですが、実際に患者さんを治療し、経過をみていくと神経をとった歯は脆く、寿命が短いことを実感していったのだと思います。

神経のない歯

神経のない歯は、痛みを感じにくくなっています。そのため、むし歯になっても気づきにくく、歯を抜かざるを得ない状態まで進行してしまいます。 また、神経の無い歯は、栄養が送られなくなるため、枯れ木のような状態になります。むし歯にならなくても、普通に使用しているだけで折れてしまうことも珍しくありません。

MTAを使用した治療について

虫歯が深くなると歯の中心付近にある神経(歯髄)まで達してしまいます。歯髄に虫歯が達すると細菌感染により歯髄を残すことができなくなります。 歯の寿命を延ばすためにはなんとか歯髄を残して治療することが必要です。それを可能にしてくれたのが「MTA」というセメントです。

以前では「抜髄」(歯の神経をとる処置)になっていた深い虫歯も「MTA」を使用することにより歯髄を保存して治療できることが多くなってきました。

ただ保険治療では認められていないため保険外の治療となり¥5,500~¥11,000(税込)くらいの自己負担がかかってしまいます。

注)どれだけ深い虫歯にも効果があるという訳ではありません。


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